箱根登山鉄道(箱根登山鉄道株式会社)について
箱根登山鉄道は神奈川県の箱根を中心に営業を行っている鉄道会社です。
古くから世界的に有名な日本の観光地である箱根の山に、最急勾配1000分の80の急坂、半径30mの急カーブ、3箇所のスイッチバックで挑む日本一有名な登山鉄道です。
その前身となったのは小田原馬車鉄道で、1888年に設立されました。
鉄道会社としてはとても古く、1896年に電化していますが、電化した鉄道会社としては日本で4番目になります。
電化の際には社名も変更され、小田原電気鉄道となりました。
その後は1928年に日本電力と合併し、後に再度独立して現在の箱根登山鉄道となりました。
箱根登山は通常の鉄道線だけではなく、箱根登山ケーブルカーも有しており、一部旅館への温泉供給、自社ビルの運営管理も行っています。
2003年からは小田急電鉄の子会社となっており、社名も「小田急箱根ホールディングス」へと変更されましたが、鉄道部門を引き継ぐ形で「箱根登山鉄道株式会社」が設立されたことで、箱根登山鉄道の名は残りました。
1978年、箱根登山鉄道は開業から90年を迎えました。その記念行事の一つして、スイスにあるレーティッシュ鉄道と姉妹鉄道提携を結びました。
こうして今では有名な「ベルニナ号」や「サン・モリッツ号」といったレーティッシュ鉄道にちなんだ名前の車両が誕生することとなりました。
中でも「1000形 ベルニナ号」は当時、箱根登山鉄道としては45年ぶりの新型車両でした。
一方、「2000形 サン・モリッツ号」は1989年に新造されましたが、こちらは箱根登山鉄道では初めての冷房付電車でした。
しかし、1991年には年間2200万人を誇った観光客数も、その後は減少していき、2003年に小田急電鉄の完全子会社となりました。
箱根登山鉄道の車両は最大で80パーミルの急勾配や地形に沿った急激なカーブを走行できなければならないため、一般車車両と比べると特殊な造りとなっています。
保安ブレーキとして搭載されているレール圧着ブレーキやレールの摩耗を抑えるための撒水装置など、箱根に最適な仕様となっています。
箱根登山鉄道といえば車両は赤く塗装されているのが特徴です。
最新型の「3000形 アレグラ号」は観光客の大量輸送を目的とした3両編成かつ、箱根の景色を最大限に楽しめるような内装、外観を目指して造られました。
車両のデザインには小田急ロマンスカーの50000形VSE車や60000形MSE車を担当した岡部憲明氏が手がけることとなりました。
景色を楽しめることを前提としているため、展望ゾーンの大型窓ガラスや、側面窓も出来る限り大きくするなど、車両に乗っていながらも開放感ある乗り心地を楽しめます。
外観は派手に見える3000形ですが、内装は過度な装飾を施さないように考慮されており、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
座席はすべてクロスシートとなっており、窓側にはカップホルダーを設けた木製のテーブルも用意されています。
このように箱根登山鉄道はただ乗っているだけで優雅な箱根の旅を漫喫できます。