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岩手県の沿岸を走る「三陸鉄道」
岩手県の沿岸を走る「三陸鉄道」
先日、TOMIXから「三陸鉄道36-700形セット」の製品化が発表されました。
リアス式海岸に沿うようにして南北に走る「三陸鉄道」。
アイボリーカラーに包まれた車両に、青と赤という何とも爽やかな配色の車両は、遠くからでも目に止まる車両ですね。
このシンボルカラーにも意味があり、青は「三陸の海」、赤は「鉄道に対する情熱」そしてアイボリーは「誠実」を表しているのだそう。
地元の人たちにとっては「三鉄(さんてつ)」の愛称で親しまれている地元に根差したローカル線でもあるこの「三陸鉄道」について今回は、詳しくご紹介したいと思います。
「日本初の第三セクター」としてスタートした「三陸鉄道」
「三陸鉄道」は「日本初の第3セクター方式」として1984年4月に開業した鉄道会社で「北リアス線」(宮古~久慈)、「南リアス線(盛~釜石)」の路線の運行をスタート。
開業初年度からの約10年間は黒字を計上したことから「三陸鉄道」の成功はその後、新たな第三セクター鉄道の誕生を後押しする存在に。
しかし、好調だった「三陸鉄道」に転機が訪れます。
1980年代後半から、日常生活の中で自動車の利用が急速に進んだことから「三陸鉄道」の利用者が減少し始めることに。
さらに、少子化に伴って、高校生の通学利用者が減少。
そして宮古駅付近にあった岩手県立宮古病院が1992年6月に宮古市郊外へと移転したことも重なり、「三陸鉄道」の利用者の減少にさらなる拍車をかけることに。
結果、黒字を計上していた「三陸鉄道」も1994年からは赤字に転落。
岩手県からの運営助成基金を元に運営を続けますが、このままでは運営資金が底を突く可能性が出てきたことから、2003年には経営改善計画の方針を定め、合理化の徹底と観光客の誘致を図るべく、例えば2004年には、土曜・休日にお座敷列車として「さんりくしおかぜ」など、イベント列車を運行するなどして経営改善に向けて「三陸鉄道」の模索が始まりました。
「東日本大震災」の甚大な被害から復活を遂げた「三陸鉄道」
そんな「三陸鉄道」が経営改善に尽力している最中に襲ったのが、2011年3月11日に東北地方太平洋沖で起きた地震「東日本大震災」。
それに伴い発生した津波は、リアス式海岸に沿うようにして南北に走る「三陸鉄道」に甚大な被害をもたらしました。
「三陸鉄道」の路線各所で駅舎や路盤が流出。車両も3両が使用不能となったことからも、その被害の大きさが想像できます。
そんな状況下で地震発生から5日後。周辺の鉄道が運行を再開していない中で、「三陸鉄道」は久慈駅~陸中野田駅で運行を再開。
さらに被害が少なかった区間についても3月末には運行を再開するなど、地元の人たちの移動手段として重要な役割を担い、震災後も変わらずに走り続ける「三陸鉄道」の姿は、多くの被災者を勇気づけました。
さらに震災後、キットカットでおなじみの「ネスレ日本」は、三陸鉄道復旧の応援を通して、沿線地域の復興を支援することを目指し、2012年3月から「キット、ずっとプロジェクト」を展開し、ラッピング列車「キット、ずっと号」を運行。
桜の花びらをまとうようにラッピングされたこちらの車両はNゲージモデルとしても商品化されたので、ご記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
被害が大きかった区間については、岩手県や国土交通省から復旧費用が捻出されるめどもつき、復旧工事が進められて、震災から約3年後の2014年の4月には全線が復旧し、運行再開となりました。
ドラマにも登場して話題となる「三陸鉄道」
三陸鉄道は震災後、ドラマなどに登場することで、その注目度はさらに高いものとなりました。
中でも代表的なのが、2013年上半期に放送されたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」。
ドラマの中では「北三陸鉄道」という名前で登場していますが、お座敷車両に乗って地元アイドル「潮騒のメモリーズ」がライブをする場面が登場したことから、なんとドラマに登場した仕様のデザインでのNゲージモデルが商品化されました。
2015年4月から運行し「あまちゃん」イメージのスイーツや、名物の「うに丼」を配るなどドラマの世界観を存分に楽しめるよう工夫を凝らしたイベント列車は、全国からドラマのファンが参加し、大変人気となりました。
そんなドラマにも登場した「三陸鉄道」のお座敷列車は2016年3月に惜しまれつつ引退。
時は流れ、ドラマ放送から10年となる今年2023年には、なんと、ドラマファンの人たちによるクラウドファンディングで実現したオリジナルのラッピング電車「三陸元気!GoGo号」が「三陸鉄道」を走ることに。
「三陸元気!GoGo号」は10月1日までは毎週土・日曜に、その後は不定期に運行されるとのこと。
さらにNHKBSでは再放送がスタートしたこともあり、SNSやネットを中心に再び「あまちゃん」とともに、三陸鉄道にも注目が集まっています。
このように日本初の第三セクターからスタートし、様々な苦難と、ドラマに登場したことから全国から注目を集めることとなった「三陸鉄道」。
震災後しばらくは記念ラッピング仕様の製品化が多く見られましたが、今回、製品化が発表された「三陸鉄道36-700形」のような通常運行されている車両の製品化は、かなり久しぶりです。
ぜひこの機会に「三陸鉄道36-700形」のNゲージモデルを手に入れてご自宅で楽しまれてはいかがでしょうか?
今回は、Nゲージモデルの製品化が発表された「三陸鉄道」についてご紹介しました。
1984年に開業した第3セクター方式の鉄道会社「三陸鉄道」。36-700形は2013年4月より運転を開始した車両で、「リアス線」の開業時に増備された車両と合わせて2023年現在で14両が在籍しています。