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名鉄2000系ミュースカイの「改造編成」「新造編成」って何?
名鉄2000系ミュースカイの「改造編成」「新造編成」って何?
先日、グリーンマックスから、名鉄2000系ミュースカイの製品化が発表されました。
「名鉄2000系ミュースカイ」と言えば、2020年に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」とタイアップしたラッピング車両が話題となり、Nゲージモデルの製品化もされた車両でもあるので、ご記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、そのラッピングではない通常の車両。とはいえ、こちらの製品化も数年ぶりとなるので、以前に手に入れられなかった方には嬉しいニュースかもしれませんね。
「名鉄2000系ミュースカイ」は4両編成セットで今回は製品化される予定ですが、詳細情報を見て、あることが気になったんです。
「改造編成」と「新造編成」
これ、文字から推測するに改造した車両の編成と、新しく製造された車両の編成っていうのは分かるんですが…
「何がどう違うの?」
この違い、実はミュースカイが誕生してからの足跡を追ってみると、その違いが分かるのですよ。
2005年に開港した空港へのアクセス特急として誕生した「ミュースカイ」
名古屋を中心に愛知・岐阜エリアの広範囲をカバーし、日本で3番目に古い歴史のある民営鉄道「名古屋鉄道」。
通称「名鉄」と呼ばれるこの鉄道会社の車両が今回、ご紹介する名鉄2000系ミュースカイ。
名鉄の頭文字の「M」、そして名鉄特急の特別車の愛称「μ(ミュー)」に空港をイメージさせる「sky(スカイ)」を組み合わせて「ミュースカイ」という愛称が付けられました。
ということでこの先からは愛称の「ミュースカイ」と呼ばせてもらいますね。
名鉄の車両に詳しい方ならご存知かもしれませんが、それまでの名鉄の車両と言えば、赤もしくはこの名鉄1200系のような赤と白がメインカラーの車両がほとんどだったんです。
ところが「ミュースカイ」は青と白のカラーの車両。登場した際には「え?これが名鉄?」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は「ミュースカイ」に使われたカラーは、2005年(平成17年)に愛知万博の開催に合わせて開港した「中部国際空港」へのアクセス用の特急として誕生したことにも関係しています。
愛知県常滑市沖の、いわば「海の上にある空港」でもある「中部国際空港」へと向かう特急車であることから「空と海」の爽快なイメージを軸に「青と白と水の透明感」をコンセプトにして「ミュースカイ」の車両は青と白を基調としたカラーとなったんです。
先頭車両の前面などミュースカイの車両には、あちこちに「Centrair(セントレア)」文字がありますが、これは中部国際空港の愛称「セントレア」からきているんです。
「普段あまり利用しない方たちにも空港へのアクセスする特急列車と一目で分かるように」ということからこのようなデザインになっています。
ちなみにミュースカイが走る空港までの路線。私も乗車したことがあるのですが、空港に近づくにつれて、海の上を渡るような車窓の景色は、ちょっと他の路線では味わえない感覚で面白いんです。
あれをジオラマで造るとなると…海に、高架のレールにと、制作するまでも面白く、奥深い造形のジオラマになるんじゃないかなと想像してみたりもします。
「改造編成」と「新造編成」の違いは「荷物置き場」
さて「ミュースカイ」が空港の開業と同時に誕生した車両ということは分かりました。 では、それがどうして「改造編成」「新造編成」の違いにつながるのかと言いますと、それは空港の利用客が当初の予想を上回る形となり、それに対応した結果できてしまった「違い」だからなんです。
実は中部国際空港は、開港当初から利用客も多く、結果としてこの利用客を運ぶ「ミュースカイ」の車両は満席が続出することに。
名鉄が運用を開始した1ヵ月後には早くもダイヤを一部改正したことからも、その利用率の高さが想像できるのではないでしょうか?
さらに追いうちをかけたのが愛知万博の開催。
中部国際空港の開港後、初の大型連休となったゴールデンウィークは、愛知万博の開催と重なって利用客の混雑は必須に。そこで当初、3両編成だった車両を6両に増結して運用するだけでなく、他の車両もこの路線用に運用するなどして当時の利用客の増加に対応するのですが…「さすがに、このままではいけない!」ということで、利用者急増による混雑を緩和するため翌年、2006年に全編成の4両編成化用の中間車と、3次車となる4両編成2本の増備が行われました。
さて、その4両編成化に伴って行われたのが「改造」。はい今回の疑問の核心に近づいてまいりました。
実は改造の正体は、車椅子対応席以外の1人掛けの席を荷物置き場に改造したことなんです。確かに、空港を利用する方はスーツケースなど大きな荷物と一緒に移動すること多いですから、車内に荷物置き場を設けて、移動時間を快適にしてもらおうというのが改造の理由です。
ですので、外から見ると分かるんですよ。というのも元々、席があったところには窓があり、そこを荷物置き場にすれば、外からは見栄えが悪いですよね?そこで改造して設けられた荷物置き場の部分の窓は運行中、常にカーテンが下りた状態になっているんです。
では、新しく作られた車両である「新造」はと言いますと…「新造編成」の車両は、最初から1人掛けだった席のエリアが荷物置き場になりました。
ということは、乗降口からちょっと離れて窓がある車両は、その壁面に荷物置き場が最初からあるから新造編成ということですね。
つまり、乗降口と窓の位置関係を注意深く見れば、違いが分かるということですね。
ということで過去にグリーンマックスから製品化された「ミュースカイ」のNゲージモデルを並べてみました。
改造編成と新造編成をこうして並べて側面を注意深く見ると、違いが一目瞭然ではないでしょうか?
実は屋根にも「改造編成」と「新造編成」の違いが!
さて先にご紹介した荷物置き場の場所だけでなく、もうひとつ「改造編成」と「新造編成」の違いが分かる場所があるんです。それは「屋根」。
でも、実車だと屋根は車両より高い位置から見ないと分かりませんよね?
そこで、Nゲージの登場!
「Nゲージなら手に取って見れますからね」
そこで再び、過去にグリーンマックスから製品化された「ミュースカイ」のNゲージモデルを並べてみましたので、まずは「改造編成」のタイプに注目してみてください。
「改造編成の車両。これ、パンタグラフの台座じゃないですか?ここ、パンタグラフ付け忘れてませんか?」
いいえ、これが正解なんです。
というのも、「改造編成」の車両は3両から4両に編成が変更になった際に、パンタグラフが撤去された箇所。なので車両には一部、パンタグラフの台座だけが残っている車両があるんですよ。
そして先にお話しした窓の話と同様になりますが、新造編成は、元々、パンタグラフが必要ない箇所は、当然ですがパンタグラフの台座などは設置されませんから、平らな状態の屋根になりますね。
このことから、車両の上から見ても「改造編成」と「新造編成」の違いが分かるという訳です。
「確かに新造編成はスッキリとしたフォルムで見た目が良い感じはしますけど…ここはやはり、中部国際空港の利用客増加による名鉄の輸送力アップの経緯なども頭に入れながら、改造編成も手に入れて、それぞれ走らせてみたいところですね」
同じミュースカイでも、「改造編成」「新造編成」それぞれに特徴があり、手に入れる方によって、色々な楽しみ方が出来そうな車両だと思います。
現在、ご予約受付中ですので、この機会にぜひ両方の車両を手に入れて、ご自宅で走る姿を楽しんでみてはいかがでしょうか?
今回は名鉄2000系ミュースカイの「改造編成」「新造編成」の違いについてご紹介しました。
中部国際空港へのアクセス特急「ミュースカイ」。複雑な3次曲面を持った前面や、青と白の斬新なカラーデザインとともに名鉄電車の従来のイメージを一新するスタイルが特徴です。