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引退した近鉄特急12200系が大改造で新たな観光特急に!

 

引退した近鉄特急12200系が大改造で新たな観光特急に!

2023年3月8日
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近鉄特急12200系が観光特急あをによしに大変身

通称、新スナックカーと呼ばれた近鉄特急12200系。
オレンジと紺色のカラーという一目見れば忘れないこの車両を「懐かしい」と思われる方も多いのではないでしょうか?

走行する在りし日の近鉄特急12200系

ゆったりとした快適な旅を提供すべく、車内に軽食できるスナックコーナーを設けたことから「スナックカー」の愛称で親しまれた近鉄特急12200系は、1969年から8年間にわたって近鉄の中でも最も多い168両が製造されました。
その後は客席を拡大するため、スナックコーナーは消滅するも、その個性的な車両も相まって「新スナックカー」の愛称で、名古屋と三重、そして大阪を結ぶ車両として活躍。
しかし近鉄の特急車両は約50年の使用を前提として製造されていることから2021年11月20日に惜しまれつつ引退した車両でもあります。

さて、引退後の車両は廃車となる訳ですが、その中で1編成のみ、新たな道を歩んだことを皆さん、ご存知でしょうか?それが今回ご紹介する近鉄の観光特急「あをによし」です。

走行する近鉄の観光特急「あをによし」

2022年4月29日から運行開始し、まだ1年も経っていないことから、あまり馴染みのない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それにパッと見ると、紫色の品格のあるその車両の佇まいに「本当に、あの12200系?」と思ってしまうのですが…

走行する在りし日の近鉄特急12200系 走行する近鉄の観光特急「あをによし」

こうして並べてみると…確かに正面からの姿には12200系の面影がありますね!
「何より快適な旅を提供すべく走っていた昭和生まれのスナックカーが引退後、令和の時代に観光特急として生まれ変わるところに、感慨深いものを感じてしまうのは私だけでしょうか?」

実は先日、グリーンマックスからこの近鉄の観光特急「あをによし」のNゲージモデルでの製品化が発表されたんです。 大阪難波から奈良を経由して京都までの間を直通して運転している近鉄の観光特急「あをによし」。 特急車両の12200系を改造したというだけでなく、車両全体のデザインなど「奈良」へのこだわりがあって注意深く見ていくと、これがなかなか興味深い車両なんです。 そこで今回は近鉄の観光特急「あをによし」について、詳しくご紹介したいと思います。

「あをによし」とは古都・奈良に掛かる枕詞

まず最初に気になるのは、この「あをによし」という名前ですよね。
実はこの「あをによし」は、和歌の中では「奈良にかかる枕詞」。学生時代に皆さんも古典などの授業で目にしたこと、ありませんか?
ちなみに現存する歌集の中では国内で一番古く、約1,300年程前に作られた「万葉集」の中では「あをによし」の枕詞を使って27首ほどの歌が詠まれていたりと、古くから奈良を表す言葉のひとつなんです。 観光特急「あをによし」のコンセプトが「1300年前の趣あふれる移動空間」となっているので、まさに車両の名前から奈良の趣ある雰囲気を醸し出していますね。

天平文化の文様などをデザインに反映した、こだわりの車両

さて、観光特急「あをによし」の一番の特徴が車体のデザイン。
車体の色は、天平時代に高貴な色とされた紫色が採用されています。
皆さんも歴史の授業で習いませんでしたか?「冠位十二階」。聖徳太子と推古天皇が定めた有名な制度で、個人の能力や手柄によって役人の位を十二に分け、頭につける冠の色をそれぞれ決めたことから、役人の被り物を見ればその役人の地位が分かるようになったんですよね。
その「冠位十二階」で最上位とされたのが紫色。思えば仏教の世界でも、高い位のある僧侶の袈裟などに紫色が使われています。
ちなみに、気品がありながらも、メタリック感のある紫色は、地下にある駅構内でも車体が映えるよう3度の試作を重ねて完成した自信作だそうです。

正面から走行して近づいてくる近鉄の観光特急「あをによし」

さらに車体の正面や側面、さらに車両の内装には、正倉院の宝物をモチーフにした天平文様などがデザインされていますので、そちらもぜひご紹介させてください。
例えば車両の正面にキラリと光るエンブレム。
重さは約50kgあるのですが、その優美な曲線を生かしたデザインもあいまって、雅な趣がありませんか?
エンブレムをデザインしたのは「東京2020オリンピック」のメダルのデザインも手掛けた川西純市氏。川西氏は、花束のフォルムを意識しつつも、天平文様によく用いられる「花喰鳥(はなくいどり)」という鳳凰やオウムなどの縁起良い鳥が、花や枝などをくわえている様子を文様にしたもので、いわゆる「幸せを運ぶ鳥」とも言われている文様をモチーフにして、このエンブレムをデザインしています。

目の前を通過する近鉄の観光特急「あをによし」

続いて、車体の側面もじっくり見てみましょう。こちらも素敵な文様ですよね? そんな中で私、側面の文様を見て気が付いたんです。

「この文様、見たことあるかも」

実は私。2019年秋に東京国立博物館で開催された「正倉院の世界」という正倉院の宝物を中心に展示されて展覧会に出かけて様々な宝物を見たんです。 そしてその展覧会会場で購入した図録の表紙にしっかり印刷されていたのが正倉院の宝物「螺鈿紫檀五弦琵琶(らでんしたんごげんびわ)」の一部分。 ということで、車両の側面と展覧会で購入した図録の表紙を並べてみました。

観光特急あをによしの車両の側面 2019年秋に東京国立博物館で開催された「正倉院の世界」展の図録

どうですか?似てませんか?
私も気になって詳しく調べてみたところ、やはり側面の花柄は螺鈿紫檀五弦琵琶をモチーフにしていることが分かりました!
こうして文様ひとつひとつを注意深く見てみると、現存する正倉院の宝物の文様などを参考にし、天平文化にこだわって作り込まれているところが、よく分かりますよね。

さて、さまざまなところにこだわって完成した近鉄の観光特急「あをによし」。 「ぜひ一度、乗ってみたい!」と思ったのですが…実はペアもしくはグループでの乗車が基本となっており、車両が運行している区間は大阪難波から奈良を経由して京都までの区間。そうなると利用する機会もかなり限られてしまい、乗車へのハードルも高くなってしまいますよね。
しかし、今回ご紹介したように、奈良の歴史や文化を存分に盛り込んだ唯一無二な車両のデザインとなっている「あをによし」ですから、鉄道模型としてコレクションに加えるのもポイントが高いと思いますし、何より実際に手に取って車両のデザインなど改めて注目しながらご自宅で走らせてみるなど、思い思いに楽しめるアイテムではないでしょうか。
現在、ご予約受付中ですので、ぜひこの機会をお見逃しなく!
今回はグリーンマックスよりNゲージモデルの製品化が発表された近鉄の観光特急「あをによし」についてご紹介しました。



近鉄19200系 観光特急「あをによし」 4両編成セット(動力付き)

2022年4月から運行を開始した観光特急「あをによし」。車体には正倉院の宝物をモチーフにした天平文様などがデザインされるなど「奈良の和」の美しさ、尊さを表現した唯一無二の車両となっています。

近鉄12200系(スナックカー 更新車 貫通路開扉パーツ付き) 2両編成 基本&増結セット

700系をベースとして2000年に製造されたドクターイエローの動力付きの基本セット。